大切なわが子によりよい教育を与えていきたいと思うのは子どもをもつ全てのみなさん共通の思い。教育感や目標はそれぞれ異なりますが、せっかくなら親も子どもも楽しい時間を過ごしながら良質な学びを得てほしい!そんな思いで、今日は童謡・唱歌をおすすめいたします。
音楽を忘れてしまう大人たち
みなさんはどのくらい童謡や唱歌を知っていますか?
時代とともに家庭環境も変化している昨今。
何世代もの家族が共に暮らした一時代前の子育て世代とは違い、核家族化や女性の社会進出などによって現代の親はいつも人手や時間に余裕がありません。
常に仕事や家事育児に追われ、音楽を忘れてしまうお母さん方も少なくないのです。
某天才を育てる!といったような家庭教育本では「クラシック音楽を家では流すように」など書かれていることもありますが、それよりももっと手軽にできるアプローチをご紹介させてください。
お母さんの声で歌う童謡や唱歌で少しでも日常を彩っていただきたいと思います。
童謡と唱歌の違い
唱歌とは明治の学制から1941年までに作られた学校教育用の歌であるとされています。
学校でこどもを教育するための歌とされているため道徳の教科書のような歌詞が多いのが特徴です。
対して子どもたちがもっと歌に親しみやすく、更に芸術性を追求したものが童謡となっていきます。こどものために作られた曲に、北原白秋や野口雨情など代表的な作詞家が詞をつけました。時代に合わせて大きく広がり続けているのがこの童謡です。
童謡・唱歌の魅力!5選
わかりやすい日本語
童謡は美しくわかりやすい日本語で構成されています。言葉を覚えやすいイントネーションになっているのです。
生まれたばかりのまだ言葉を知らないあかちゃんには語りかけが推奨されていますが、ぜひわたしとしては歌いかけをおすすめしたいのです。
ママの歌声にのせてより多くの言葉を知ることができる絶好のチャンスです。
日々指導や育児をしていて、子どもたちは特に「同じ」を見つけるのが大好きだなと思うことが多々あります。
絵本で見た食材と目の前に並べられた食材が一緒だったあかちゃん。
「これとこれは同じものだ!」と大発見した時のお顔がわたしは忘れられません。
嬉しくてうれしくて喜びいっぱいの仕草をするのです。
同様に、例えば「しゃぼん玉とんだ〜屋根までとんだ〜♪」と歌いながらしゃぼん玉遊びをしてみると、しゃぼん玉・とんだ・屋根…など言葉と実際のものが自然と結びつくようになります。
そんな言葉と世界の同じ(発見)をたくさん増やすことで言葉をスムーズに習得することができるのです。
想像力が育つ
わたしは、うたと絵本は子育ての二台最強ツールであると確信しています。
言葉や音楽や視覚によって目に見えないものを頭の中に思い描く力が育つのです。
想像力は豊かな人間の心を育むために最も必要だと思います。
語りかけや絵本だからできることも多いのですが、なかでも童謡がもつ最大の魅力は心を揺さぶるメロディです!
美しいメロディ
音楽は心に直接訴えかける力があります。それはどんなに小さな子どももでも同じです。
明るく元気がでる音もあれば、怖い気持ちになったり、やさしい気持ちになることもあります。共感から安心感を得たり絆を感じることができる。それはメロディがあるからこそです。
共通して多くの童謡は小さな子どもからお年寄りまで誰もが歌えるシンプルな旋律。そのため何度か聴いただけで覚えられるほど。
介護の仕事に携わる方のお話を聞くと、子どもと同じように高齢の方々が暮らす施設では童謡や唱歌をみんなで歌う時間を大切にしているそうです。
その音楽ごとにそれぞれの記憶や思い出が重なり、音楽療法としても効果があることが知られています。
日本人に馴染みがある旋律をつかっているので真似して歌うことを簡単にくり返すだけで、聴く力や記憶力が刺激され、音感も養われます。
音感が身につく
ピアノを練習してこない子どもたちはたいていの場合、音感が育っていないことが多いと感じます。これまでどんな音楽を聴き口ずさんできたのか。その体験の積み重ねが大きく影響しています。
手遊びや馴染みのうたをたくさん歌ったりリズムにのる経験をしてきた子どもは、先生の演奏を聴いて覚える・真似することに長けています。
上等な教育は必要ありません。
ぜひ生活の中でたくさんの歌を親子で歌い、真似する力を育んであげてください。
そして童謡だからこそ得られる音楽的メリットはフレーズ感です。
ピアノは打楽器の仲間なので、鍵盤を叩けば簡単に音を出すことができます。
しかし一音一音連ねるだけならロボットでも猫でもできるのです。
ただ鍵盤を弾くだけではなく、自ら歌詞をつけて歌うことでピアノの音で唄うという感覚も得ることができます。
親子のふれあい
日常にふと目を留めてみるとほとんどのものに対して歌は存在しています。
季節のうた。家族のうた。食べ物のうた。動物のうた。気持ちをあらわすうた。故郷のうた。
春が近づいてきたら「はるがきた」
こいのぼりが見えたら「こいのぼり」
ちょうちょが飛べば「ちょうちょう」
歩くだけでも「さんぽ」
…と、いくらでも挙げられそうです。
生まれたときから子どもたちはお母さんの声をなにより心地よく感じます。
だってお腹にいるときからよく聴いてきた声です。
その声で歌い、語りかけ、読み聞かせする効果はとても大きく
こどもたちは安心感や情緒の安定を得ることもできます。
子育ての救世主
わたしは子育てをしながら改めて気づいたことがあります。
自分は常にといっても過言でないほど日々、家で歌っているということです。
もちろん好きな曲もですが、子どもと居ると童謡やこども番組のうたなど多岐にわたるラインナップで歌い続けます。うるさいと思われるほどかもしれません。笑
ちなみに自分の機嫌が悪いときには歌は湧いてきません。われながらとても単純だなと思います。
けれど逆に、うたを歌えば機嫌は戻るのです。ふざけて娘と歌いながら踊ったりするとなんでイライラしてたんだっけと忘れてしまうほど。ただただ、親子で楽しくなるのです。
それが音楽の力なのだと思います。わたしはいつも音楽に救われています。
難しく考えることはありません。お母さんが好きだと思える曲を、はじめは数曲からでも日々口ずさんでみてください。歌は親子を繋いでくれます。
歌い継ぐべき文化
みかんを食べながら「みかんの咲く丘」を歌ったり、海をみながら「かもめの水兵さん」を歌ったり。四季に合わせて空気が変わると同時に、心を満たす音楽は変わっていきます。
意外とみなさん知らない曲もなぜか口ずさめるのはなぜかと最近考えたところ、幼少期にわたしの母が歌ってくれていたからなのだと気づきました。
きっと母も歌いながら育ててくれたからわたしは知らずしらずのうちに古い唱歌も口ずさむのです。
そうやって日本の文化は受け継がれていくのだと思いました。
きっと子どもの頃に歌ってもらった歌は、言葉・音楽・心の学びになり日々の生活を支えてくれます。そしてそれらの歌と生きる日々は思い出や記憶を大切にしまう引き出しになるでしょう。おじいさん、おばあさんになったならその引き出しをそっと開けて、今日の日々に想いを寄せることもできます。
そんな思い出の歌を何世代もの家族で共有することもできます。
戦後まもなくから発展してきたこの美しい言葉とメロディをもつ童謡・唱歌を風化させてはいけません。祖母から母から受け取った歌を今はわが子と歌い、子どもから孫、ひ孫へと。
宝の音楽をより多くの人たちが歌い継いでほしいと想います。
来週から二週間は教室のイベント準備の為、更新をお休みします。
次回は5月22日月曜日に【ピアノ教室の調べ方・選び方】というテーマで記事を公開します。
これからピアノを習ってみたいと思う方に届いたら嬉しいです。
あとがき
この記事を書くにあたり、こんな動画を見つけたので共有します。
先日ご逝去された坂本龍一さんの想いを重ねて知り、とても大切な視点だと感じました。
ご興味ありましたらぜひ御覧ください。
また参考図書はジブリ作品「コクリコ坂から」の原作者としても有名な佐山哲郎さんの著書。タイトルから興味をもち、懐かしい歌の発生や歴史について知りました。
第6章の“こども番組に歌があふれる”が今のわたしにとって大きな学びになり、これからも子どものたちに歌や音楽を触れてもらうためのプラットフォームでありたいと思ったきっかけになりました。こちらももしよろしければ。