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上達する練習方法

ピアノを習う人なら誰しも上達したいからレッスンに通っていますよね。
前回は練習しなさいと怒っていませんか?というテーマで家庭でできる練習への声かけをお伝えしました。
今回は実践的な練習方法をご紹介したいと思います。

すぐに上達はできない!

ピアノを弾くということは指だけが動いているわけではありません。

目は楽譜を見て、耳は音を聴きます。指は音符を奏でて、足はペダルに使い、脳内フル回転。一瞬一瞬の時を追求するのが音楽であり、演奏には全身の鍛錬が必要なのです。

そのため手っ取り早く上達する方法は残念ながら存在しません。毎日コツコツと練習するしかないのです。


ですが練習を嫌う必要はありません。楽しく練習できるコツや考え方はあるはず!
今日は主に生徒を思い浮かべながらすぐに取り組める練習方法をご紹介します。

おすすめの練習方法

苦手なポイントだけ3回弾く 

ピアノを始めたばかりの生徒たちへ、必ず最初に教える練習方法です。
成長してどんなレベルの曲を弾いたとしても同じことが言えます。

いつもミスしてしまう箇所を良くするためには、その前後を含めたセクションを小さく取り出して、まず3回繰り返して弾きましょう。うまくいかない場合はスキップのリズムやスタッカートで弾く、など奏法を変えて練習してみてください。

重要なのは正しい演奏を3回くり返すこと(できなければ5回、10回と増やす)
するとほぼその部分は弾けるようになります。

これはピアノに限らず勉強や、苦手なことへの取り組み方にも同じことが言えます。
ミスに引っかかってしまう小さなきっかけを見つけては反復練習してみましょう。


教室へ通ってくれる生徒たちと日々のレッスンではこの作業をくり返しています。
たまにくじけそうになると励ましたり、達成できればいっしょに喜んだりしながら生徒とコツコツ上達への道を歩んでいます。

テンポを変えて弾く

うまく弾けない場合はテンポ設定が合っていない可能性もあります。
曲を仕上げた時と、練習時のテンポは別です。

ものすごくゆっくりな状態で最後まで弾くことは意外と難しく感じるかもしれません。
ですが新しい曲に取り組んだ際は、次の音を考える余地を残したテンポで最後までかたてずつ弾いていくことがおすすめです。

近年の研究では何人もの学生が同じ曲を一斉に取り組んだ際。曲を完成するのに一番効率的な練習は、正確な音を弾いた数をより多くすることだったそうです。

まちがった音を弾いていると癖が付きます。絶対に間違えないとまずは決めて、正しく次の音へ運ぶことを第一の目標にしてみましょう。

計画を立ててご褒美を設定する

一曲をまるごと上記の練習をすることはとにかく時間がかかり、大変な作業です。
いちにちにピアノを弾くことができる時間が限られている場合は、曲を練習用のセクション分けしておくことがおすすめです。

ここからここまではA。ここからここまではB…と設定し「今日の練習はAとBのかたてずつ練習をしよう」など計画を立ててるようにしましょう。その際「ここまでできたらチョコレート一粒を食べて良い!」など、ちいさなご褒美を設けるとやる気はかなり上がります。

ぜひ大人も子どももそれぞれのレベルに合わせて、練習が楽しくなる工夫をしてみてください。

身体の使い方を知る

正しい身体の使い方は、ピアノを習う子どもたちや親御さんに必ず認知しておいてもらいことのひとつです。
指のどの部分が鍵盤に触れるのか。そのとき手や腕はどのような形になるのか。
無理に力を押し込むように弾くと怪我の元にもなります。

いつでも理想の指の形にできるようにさまざまなトレーニングをしてみてください。

ピアノを弾く基本である指のフォーム

親になってからより一層、子どもの指の発達についても興味が湧くようになりました。
0〜2歳の子どもの指はふにゃふにゃで、まだまだピアノを弾く指の形には適しません。
骨や筋力は一朝一夕には形成されない為、1歳過ぎた頃から娘の指を使い小さいうちからでもできる指の筋力トレーニングを自分なりに考え、試してきました。

1.親子でお指マッサージ

  1. 子どもをひざに乗せていっしょに指を観察する
  2. 関節を優しくほぐし、第一関節をつまみながら支える
  3. そのままのフォームで親の指にひっかけてみる
  4. すべての指でおこなう

最終的にこんな指の形ができるかやってみてください。
最初は多くの場合が関節がピンと伸び、引っ掛けることができませんが、次第に慣れていくでしょう。

インスタグラムには動画を載せています。よろしければご覧ください。

 親子でのスキンシップのひとつになりますし、手先をほぐすと血流が良くなるようでポカポカと身体があたたまり、不思議とそのあとはすやすや寝てくれます。未だわたしも入眠儀式としても続けている習慣です。


そんな娘は現在4歳になりますが、何年かピアノを習うお姉さんたちと張り合うほどにしっかりと指のフォームを意識してピアノを弾くことができています。
ピアノを習うずっと前からできる指先のトレーニング。ぜひおすすめの作戦です。

2.壁でぼよよんトレーニング

これを試してからピアノを弾かせると全く違う音色を出すことができる生徒が続出!
ぜひみなさんも試してほしいなと思います。

  1. 壁の前に立つ
  2. 胸の前に両手を構える(ピアノを弾くときのフォームで)
  3. そのまま体重を倒す(指で身体を支える)
  4. 指の力で押し返す
  5. 10回くりかえす

指や腕の筋トレにもなりますし、体重を指先にかける感覚を物理的に感じられるのではないでしょうか。

電子ピアノではなく、アコースティックなピアノはテコの原理で音が鳴ります。(シーソーを思い浮かべてくださいね)
力を押し込むように鍵盤を弾くのではなく打点を定めて重さをのせることがピアノから最も良い音を引き出すコツです。

3.落としちゃいけない!ゲーム

ピアノを弾くときに手首がぐらぐらしてしまう子は多く見られます。
上級者のレッスンでは手首をつかって表現性を高めることもありますが、基礎的な脱力を学ぶためには手首はまっすぐな状態を保つとよいでしょう。

そこでまたまた考案したのはゲーム感覚で意識をしてもらう練習方法です。

  • 消しゴムを手首に乗せたままピアノを弾く

すると、いかに何も考えていないときに手首が動いていたか知ることができます。


すべり落ちにくい消しゴムをわたしは使うことが多いですが、肌に当たる面積が広い定規などでも構いません。

ゲームとして行うので子どもたちは楽しみ、消しゴムを落とせば「もう一回やる!」と何度もチャレンジしてくれます。
その後いつもどおりに弾かせるととても安定したフォームを保てることができるのです。

自分の実力を知る

ピアノを習い始めた子どもたちはどんな練習がうまくいくのか。どんな練習が改善しなくてはならないのかを客観的に判断する力はまだありません。

毎週レッスンへ通い、先生から直に指導してもらうのはこれらの力を得るため。そのサポートをご家族の皆さんへはお願いしたいのです。

4.スマホなどで録画してみる

親が「ここが間違っていたよ」と指摘すると、たいてい聞く耳持たないのが子どもたちです。そのためまずは自分でしっかり気づかせましょう

客観的にするには自分の演奏を聴かせる・見せることが一番です。

その際、ぜひ一緒に楽譜を開きながら動画などを見てください。
ミスを見つけた場合は「今のはこれであってるの?」とか「この音はどうやって弾くの?」と質問することで、子どもに自ら気づく機会を与えてあげることができます。

ご家庭でも子どもたちの力を信じ、たくさん励ましてあげてください。

習慣化する

練習時間というのは、長ければ良いというものではありません。
週に一度たっぷり練習したとしても、毎日練習を続ける人には敵わないのです。
それは全身をつかう演奏において当たり前のこと。コツコツと継続して筋肉を鍛えることから演奏は始まります。

最初は5分〜でもかまいません。できる限り毎日ピアノに触れて、ピアノの演奏に適した身体を作っていきましょう。

5.ピアノ用のカレンダーを用意する

人間は時間が経つと自分で立てた目標も忘れてしまいます。見えない事柄は可視化すること。すると継続できるようになるのです。
毎日必ず目にする場所にカレンダーを置いて努力を見える化しておきましょう。

この方法はビジネスの世界でも行われている確実に成果を上げる方法だそうです。
もちろん連日が大変な人は、休息日を設けるのもいいですね。

ぜひ無理がないようにそれぞれで目標を設定して、日々少しのチャレンジを続けてみてください。必ずピアノは上達していきます。

まとめ


そもそも最初からピアノを弾ける人はいません。
ですからどうやったら弾けないものを弾けるようにできるのかを考えて練習してみましょう。

毎日の練習の中身を濃くする心構えが確かな成果を生むのです。毎日コツコツ続けるしか道はありません。

それが一番難しいのだということも、とてもとても理解しているのですが。やっぱりそれしか道はないのです。

好きな曲を自由に弾くことができる技術を得て、みなさんの音楽ライフがますます楽しいものになりますように。

次回の投稿テーマは【演奏会のマナー知っていますか?】

教室では来月、発表会の開催を予定しています。
マナーを知っていれば、さまざまな演奏会やエンターテイメントの場にも気軽に行けることと思います。ぜひまた月曜日に見に来てくださいね♪

あとがき

今回の参考図書はぜひぜひ音楽に携わるみなさんに読んでほしい一冊です。ピアノだけではなく、楽器や声楽などにも通ずる内容でした。

練習は苦行ではなく洗練された芸術であり、本能、霊感、忍耐力、優雅さ、明晰さ、バランス感覚、 そして何より、動きと表現にさらに磨きをかける方法を追究するものだ。

イェフディ・メニューイン(ヴァイオリニスト)/成功する音楽家の新習慣

尊敬するメニューインの言葉も出ていました。

おっしゃる通り。練習とは自分の理想に近づくための喜びなのです。
そして他にも衝撃を受けた言葉がありました。

上手に練習するということ自体がひとつの芸術だと言えます。
ー時間と手段を節約するための芸術なのです

デイヴィッド・ブルーム グァルネリ弦楽四重奏団著 /「クァルテットの技法ーグァルネリ弦楽四重奏団と語る」」

いかに効率よく時間を使い、意味のある練習をするか追求していく、その事自体が芸術だというのです。目からウロコ!とっても気持ちが高まりました。笑

少し専門的な文章になるので学んだことを噛み砕いて、またわたしもここでご紹介できたら良いなと思っています。

興味ある方はぜひ!読んだらわたしと語らってください!

POSTED COMMENT

  1. kaho より:

    ピアノだけでなく、全てのことにおいて大切なことだなぁと思ったよ♡ヒントにさせてもらいます‪ ·͜·♡‬
    最近ピアノしたいって言い始めてて、どうしようかなぁって悩んでるの。こっちのお習い事はとにかく費用がかさむので…( ߹꒳​߹ )させてあげたい気持ちはありありなんだけどねぇ( ߹꒳​߹ )

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